日本史の教科書などに掲載されている「囲炉裏(いろり)」は、家の中で火を焚くための暮らしの設備でありました。皆さんのご自宅のキッチンには、煮炊きをするためのコンロはありますか?「電気」「ガス」などをエネルギーとして、指一本で火を起こすことのできる住宅設備が、ご自宅に備わっていると思われますが、すこし前の日本人の暮らしのなかに「囲炉裏」は当たり前のように備わっておりました。「囲炉裏」は、食事の際の煮炊きをするために使われておりましたが、現代でいうところの「コンロ」の役割とお部屋を暖めるための「暖房器具」としての役割も果たしていたようです。また、薪(まき)などを燃やした際にお部屋のなかに充満する「煙」には、お部屋のなかの害虫やカビ菌などを消毒したり駆除しありするための働きをしていたと言われております。「囲炉裏」は1つで何役もこなす万能な住宅設備であったのです。現代のように、コンロ、エアコン、室外機、除湿器、加湿器などとった電気機器のない時代には、「囲炉裏」を住宅の真ん中に設置するだけで多くの働きをこなしてくれていたのです。現代の生活環境に「囲炉裏」を復活させることは困難であろうとは思われますが「囲炉裏」が当時の日本人に与えた恩恵には学ぶ要素が多くあるような気がしてなりません。